大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)58 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由一ないし六について。

原審の事実認定は挙示の証拠によりこれを是認できる。原審の認定したところに

よれば訴外Dが本件手形の振出人欄の上告人の記名捺印および特約欄の印をそれぞ

れ上告人を代理して上告人の氏名を記載し、上告人より預つていた上告人の印を押

捺したものではあるが、右Dは被上告人の主張するごとき上告人を代理する権限を

有したものとは認められないというのであつて、右事実関係の下においては、本件

手形は偽造手形とは認められない。そして原審の認定したところによれば本件手形

行為を本人たる上告人が追認しているというのであるから、有効な手形行為として

本人に対し効力を生じたものというべきである(昭和八年(オ)第二四一号、同年

九月二八日大審院第一民事部判決、民集一二巻二三六九頁参照)。所論は原審の裁

量に属する証拠の取捨、事実の認定を非難しまたは原審の認定に副わない事実関係

を前提として原判決を非難するものであつて、採るを得ない。

同七ないし九について。

原審は、上告人が自己の印鑑(甲三号証)を届けていること、および二〇回前後

にわたりDが被上告金庫より上告人を共同振出人として手形による金融を得た際も、

上告人の印がいつも同一であつたことを認定しているのであつて、所論のように、

届出の印と手形の印が同一であると認定したものでないことは判文上明らかである。

所論は原判示に副わない主張を前提として原判決を非難するものであつて、採るを

得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

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おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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